カリフォルニケーション ある小説家のモテすぎる日常 シーズン2 : 特集

 主人公ハンクには、主演のドゥカブニーと共通点がある。実はドゥカブニーはセックス依存症だったことがあり、そのせいで妻で女優のティア・レオーニとの関係が危機に陥ったことがあるのだ。彼は自発的にリハビリ施設に入院して治療を受け、離婚の危機も乗り越えた。この事件が起きたのは、「カリフォルニケーション ある小説家のモテすぎる日常」シーズン1とシーズン2の間のこと。実生活でのこの経験も、ドラマに活かされているに違いない。

 ちなみにセックス依存症とは、精神疾患である依存症のひとつで、性的な興奮や刺激に溺れることが習慣化し、自分でコントロールできなくなる状態のこと。この症状に陥ったハリウッド・スターには、マイケル・ダグラス、ロブ・ロウ、ビリー・ボブ・ソーントン、タイガー・ウッズなどがいる。

 製作総指揮のドゥカブニーの趣味なのか、本作には音楽ネタが満載だ。「カリフォルニケーション」は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの大ヒットアルバムのタイトル。主人公ハンクの小説タイトルの数々は米バンド、スレイヤーの曲名と同じだ。そして主人公の娘ベッカはロックバンドを組んでギターと歌を担当、ステージでウォーレン・ジボンの曲を披露する。ジボンの曲は多数挿入され、セリフにも登場する。彼は本作の舞台ロサンゼルスを拠点に地道に活動し、大きなヒットには恵まれず03年に肺ガンで死去したが、多くのミュージシャンに愛されたミュージシャンズ・ミュージシャンとして知られる。

 そして、今でも熱狂的なファンを持つニルヴァーナのカート・コバーンにまつわる印象的なエピソードも登場する。コバーンは94年4月5日に27歳で自殺するが、ハンクと元恋人のカレンが昔を語る場面の会話に登場。カレンが妊娠したことを知った2人は、いっしょにカート・コバーンの追悼式に出掛けたのだった。


 全米視聴率は好調で、2011年1月からシーズン4の放送スタートすることが決定、本年4月から撮影が進められている。また、批評家たちの評価も抜群で、ドゥカブニーはゴールデングローブ賞主演男優賞に08年から連続3年ノミネート、08年に受賞している。エミー賞は08年09年連続で撮影賞を受賞。高視聴率と受賞歴がこのドラマのクオリティの高さを証明している。

 主人公ハンクの元恋人カレンを演じるのは、「ソラリス」「ラヴェンダーの咲く庭で」の英女優ナターシャ・マケルホーン。彼女は、整形医の夫と子供2人といっしょにロンドンに住んでいたが、ロサンゼルスで本作を撮影中の08年5月、夫が心臓発作で急死するという悲劇が起きた。彼女は3人目の子供を妊娠中だった。本作で夫や恋人、子供への微妙な心理を繊細に演じる彼女だが、その演技にはこんな実体験が影響しているのかもしれない。





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