THE TUDORS 背徳の王冠 シーズン1 : 特集

「THE TUDOUR/背徳の王冠」は、いわばNHK大河ドラマの16世紀英国版。そのうえ、クリエイターは「エリザベス」「エリザベス/ゴールデン・エイジ」の脚本家。歴史ドラマでありながら、恋愛や権力闘争といった下世話ネタが中心で、歴史ファンと恋愛ドラマファンの双方が楽しめるように作られている。

 歴史ドラマは数々あるが、このドラマの衣装と首飾りや指輪などの装飾品の豪華さは、大作映画並み。ひょっとしてクリエイターが「エリザベス」「エリザベス/ゴールデン・エイジ」で使った小道具を流用してる?と邪推するほどの豪華さだ。

 それが女性陣だけでなく、男性陣にも使われていて、ヘンリー8世の毎回替わる豪華な衣装は、女性の目から見てもうっとりもの。実在の有名な肖像画を意識したデザインの衣装や装飾品も登場する。

 その衣装と装飾の見事さは、エミー賞で07年、08年の2年連続で衣装賞を獲得したことでも証明済みだ。

 欧米でも歴女がカミングアウトして、英国版「天地人」が作られたのか?と思ってしまうほど、キャストは英国産とカナダ産のイケメンぞろい。

 まずヘンリー8世が「ベルベット・ゴールドマイン」のジョナサン・リース・マイヤーズ。ヘンリー8世は、現存する肖像画では美形でもなんでもない太ったオヤジだが、マイヤーズはスレンダーな美形。彼のルックスだと、宮廷の侍女たちを次々にナンパして陥落するのも説得力がある。

 そして注目なのが、ヘンリー8世の中心、リチャード卿役のヘンリー・カビル。彼はこのドラマによってそのシャープなルックスで人気を集め、「ザ・セル」のターセム・シン監督のアクション大作「War of Gods」で、主人公のギリシャ神話の英雄テセウス役に抜擢された注目株だ。

 また、今も名前の残る当時随一の作曲家トマス・タリス役で、ロックバンド、ジョー・リーン&ザ・ジン・ジャン・ジョンのフロントマン、ジョー・リーンが、ジョー・バン・メイランドという俳優名で出演。日本のサマーソニックにも出演して腰をクネクネさせながら歌っていた彼が、内気な天才音楽家という意外な役に挑戦。しかも、タリスはゲイという設定で、ヘンリー8世の寵臣ウィリアム・コンプトンと愛人関係になるというドキドキな展開に。このコンプトン役を演じる、カナダ俳優クリステン・ホールデン・リードもTVシリーズ「Lost Girl」で主演に抜擢されている。

 ほかにもエドワード・シーモア役の英国俳優マックス・ブラウン、トーマス・ワイアット役の英国俳優ジェイミー・トーマス・キングなど要チェックな男優が続々。まだハリウッド映画には登場していない、英国&カナダの隠れたイケメン男優を発掘するのも楽しい。

 物語は史実に残る通りではなく、分かりやすくアレンジされているので、歴史好きならその変更ぶりをチェックするのも楽しい。

 例えばヘンリー8世が実際にアン・ブーリンと結婚したのは40代だが、ドラマでジョナサン・リース・マイヤーズが演じるヘンリーは30歳くらいに見える。また、ドラマでガブリエル・アンウォーが演じるヘンリーの姉マーガレットは、ドラマのオリジナル。実際のヘンリー8世の姉マーガレットと、妹メアリーについての史実を、ひとりの女性にまとめて表現しているのがこのキャラ。そんなTVならではのアレンジも加えられている。

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