SPACED 俺たちルームシェアリング(スペースド オレタチノルームシェアリング) シーズン1 : 特集

 「俺たち」シリーズとは、日本が「邦題」で勝手に生み出したシリーズ名。ウィル・フェレル主演の「俺たちニュースキャスター(未)」「俺たちフィギュアスケーター」「俺たちダンクシューター」「俺たちステップ・ブラザース/義兄弟(未)」と4作続けばこれはもう立派なシリーズ。しかもそれぞれの作品の配給会社と発売会社は同じではなく、いわば自発的に発生したシリーズであるところがポイント。誰が決めたわけでもないのに、日本では「これはウケる人には大ウケのおバカ・コメディである」と宣言したい時、邦題に「俺たち」を付けることになったのだ。

 この「俺たち」の心意気を継承したのが、本作の監督エドガー・ライト&主演コンビ、サイモン・ペッグ&ニック・フロストの新作映画「ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!」。そして同じトリオによる本作「SPACED/俺たちルームシェアリング」なのだ。「俺たち」を名乗る自信に満ちている。

 このトリオの作品は、これまでの「俺たち」シリーズ同様のおバカ・コメディだが、そのうえ映画のパロティ満載で、さらにそのネタ元となったオリジナル作への愛情に溢れているのが特徴。前作「ショーン・オブ・ザ・デッド(未)」がシリアスなゾンビファンにも熱狂的にウケたのがその証拠だ。

 そんなコンビの原点ともいえるのが本作。主人公のニックは「スター・ウォーズ」オタクで、コミック作家志望のコミック専門店の店員。そこで「スター・ウォーズ」「X-MEN」「ゾンビ」「X-ファイル」などのパロディが登場するのは予想通りだが、さらに「タクシードライバー」「赤い影」「ファンタジア」などの名作から「ナインハーフ」「ショーガール」「ミザリー」などのエンタテインメント作まであらゆるジャンルのパロディが満載。DVDで見るなら「パロディ早わかり字幕」が便利。パロディシーンでは左上に字幕で元ネタのタイトルを表記、「おお、そう言われれば!」と楽しさが倍増する。

 この監督エドガー・ライトと主演のサイモン・ペッグは実際にフラットメイト(ルームメイト)だったことがあり、主演コンビ、サイモンとニック・フロストは実生活でも大親友で、やはりフラットシェアしていた間柄。ニックは本作に出演する前は、演技の経験がまったくなく、レストランのウェイターをしていた。

 また、主演のサイモンは実際に、主人公ニックと同じ「スター・ウォーズ」オタク。そして作中で、主人公ニックの宿敵を演じる俳優は「スター・ウォーズ/ファントム・メナス」で悪役ダース・モールの声を担当した俳優で、やはりサイモンの友人。つまり本作で彼らが演じている、夢はあるがマヌケな日々を送る若者たちという役は、ほとんど「素」。だからこそ、誰が見ても「ある、ある」な笑いに満ちているのだ。ちなみに現在、エドガー・ライト監督は、オタク仲間のクエンティン・タランティーノ監督の家に居候中。実はフラットシェアが趣味だったりして?

 楽しいオマケは、登場人物たちの日常生活として描かれる英国の風俗。失業保険事務所に並んだり、仲間とパブをはしごしたり、パブで出会った初対面の人物におクスリをもらって頭がギンギンに冴えて眠れなくなったり。

 そして、「ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!」は挿入歌使いがギャグにもなっている見事さだったが、本作も挿入歌の選曲がナイス。日本のコーネリアスやファンタスティック・プラスチック・マシーンなどが使用されている。

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