アーノルド坊やは人気者 シーズン1 : 特集

 米国で初のアフリカ系アメリカ人大統領が誕生した今年、オバマ大統領同様、黒人パワーで人気者になるアフリカ系アメリカ人少年、アーノルド坊やを描く本作が日本で初めてDVD化されるのは、時代の流れを象徴する出来事。まだ人種差別が残る78年のアメリカで放送開始され、おしゃまなギャグで白人たちにも愛されたアーノルド坊やは、オバマ人気を先取りしていた!?

 30年代の人気者シャーリー・テンプルから近年の「I am Sam/アイ・アム・サム」のダコタ・ファニング、「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアまで、“天才子役”はみんなが大好き。本作の主人公、8歳のアーノルド坊やを演じるのも天才子役ゲイリー・コールマンで、大人顔負けの名コメディアンぶりを発揮する。さらに、その13歳の兄ウィリス役を演じるトッド・ブリッジス、13歳の義理の姉キンバリー役を演じるダナ・プラトーと、名子役たちが共演しているのも見逃せない。

 そしてドラマ初放送から31年もの歳月が経った今、その名子役達のその後を知って見るとさらに感慨深い。アーノルド役ゲイリー・コールマンは俳優業に恵まれず、ゲーム店やレストランの経営もうまくいかず、警備員をすることに。98年には警備の仕事中に女性に暴力を振るって罰金を払い、07年には口論から軽犯罪容疑で召喚を受けている。兄役のトッド・ブリッジスも俳優業がうまくいかず97年に暴力事件で逮捕されたが、その後は復帰し今もTVなどに出演、プロデューサーや監督業にも進出している。そして義理の姉役、白人の健康的な美少女だったダナ・プラトーは、番組放送中に妊娠のためレギュラーを降板させられ、出産後はゲスト出演に。一時はソフトポルノにも出演、91年には窃盗で逮捕され、99年には34歳の若さで麻薬の過剰摂取により自殺している。

 TVドラマには「刑事コロンボ」「空飛ぶモンティ・パイソン」など日本語吹替えによって面白さが増す作品が多々あるが、本作もその1つ。優れた日本語訳で知られ、中でも有名なセリフ「冗談は顔だけにしろよ!」は日本でも流行語になったが、実はオリジナル版にはない、吹替え版だけの名文句。オリジナル版のセリフは「Whatchoo talkin'bout?(お前何言ってんだよ?)」で、このセリフもアメリカでアーノルドのキメ台詞として有名になった。

 吹替えファンにはたまらない名声優が集まっているのも本作の魅力。アーノルド役は「ムーミン」のミイの堀絢子、兄役は「ドラゴンボール」の孫悟空の野沢雅子、アーノルドの義父役は「奥さまは魔女」のサマンサのパパの川久保潔と名声優が結集! 日本語吹替えならではのジョークも満載で、声の名演が堪能できる。

 アーノルド坊やが、おしゃまなギャグと大人顔負けの話術で周囲の大人たちをやりこめる痛快さに、まずは爆笑。その後で、アーノルド坊やをとりまく人々の優しさ、惜しみない愛情にホロリとさせられる。1話完結のエピソードの中で、このパターンに沿って笑いと泣きの両方を押さえているのが本作。笑って泣ける、ホームドラマの王道が楽しめる。

 当時の人気者たちの懐かしい姿が見られるのも本作の魅力。アーノルド坊やの兄のガールフレンド役で登場するのは、なんとジャネット・ジャクソン! 今や大スターのジャネットがまだ初々しい笑顔を見せてくれる。他にもモハメド・アリ、レーガン元大統領夫人ナンシー・レーガンなど当時の有名人が続々登場。人気TV番組からのゲストも多く、「ナイトライダー」のデビッド・ハッセルホフ、「特攻野郎Aチーム」のミスター・Tらが出演。

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