24 TWENTY FOUR シーズン5 : 特集

■まだ間に合う!「24」をシーズン5から楽しむための基礎知識

ネタバレ注意!

 「24」をシーズン5から鑑賞できる人はある意味、幸運である。他のTVシリーズと同様、「24」にもシーズンによって出来・不出来がある。たいていは、シーズン1が最高で、そこからだんだんと勢いを失っていくものだが、「24」においてはシーズン3という例外を除いて、実はその逆なのだ。

 リアルタイム形式や、論理性よりもサプライズを重んじるストーリー展開など、クリエイターチームは年を重ねるごとに独自のストーリーテリング術に磨きをかけていく。主人公ジャック・バウアーのキャラクター描写にリアリティが増したばかりか、頼りない大統領と精神不安定なファーストレディが繰り広げる重厚なドラマが加わったシーズン5は、現時点における「24」の最高水準であることは間違いない。シリーズものではあるが、以下の5点さえ抑えておけば、シーズン5からでも「24」を十分堪能できるはずだ。

○主人公はジャック・バウアーである

 元デルタフォース(アメリカ陸軍第一特殊分遺隊)出身で、対テロ組織CTUロサンゼルス支局の捜査官。責任感が人一倍強く、任務を遂行するためには手段を選ばない。規則や命令を無視して毎回暴走を繰り広げるが、そのたびに必ず結果を残すという類い希な直感と幸運の持ち主。妻をテロリストに殺されており、別居中の娘キムがいる。恋人は、国防長官の娘でCTUに勤務するオードリー・レインズ。

○ジャック・バウアーは“死人”である

 シーズン4の捜査のあいだに、ジャック・バウアーは中国大使館に侵入し重要証人を連れ去るという事件を犯した。中国との国際問題に発展することを恐れた米政府は、ジャックの殺害を命令。しかし、その直前に、CTUの仲間がジャックの偽装死を演出。ジャックは“死人”となり、名前も家族も恋人も捨てて、日雇い労働者フランク・フリンとして暮らしている。

○ジャック・バウアーには強大な敵がたくさんいる

 ジャック・バウアーを目の敵にするグループが複数存在する。テロの計画をジャックに阻止されたテロリストたちや、逮捕を目論む中国政府はもちろんのこと、ジャックの存在がアメリカの国益を損ねていると信じる自称“愛国者”たちが米政府内にも存在。謎の組織が偽装死を暴いたいま、ジャックに魔の手が迫りつつある。

○ジャック・バウアーにはコネがある

 一匹狼の性格ゆえに周囲に誤解を与えがちなジャック・バウアーだが、いくつもの危機をかいくぐるうちに、仲間の信頼を勝ち得ている。CTUのトニー・アルメイダやミシェル・デスラー、クロエ・オブライエンは偽装死を手助けした同僚で、とくに、天才エンジニアのクロエはジャックに欠かせない存在だ。政府側にも、オードリーの父であるジェームズ・ヘラー国防長官をはじめ、ジョン・ローガン大統領の補佐マイク・ノビック、シークレットサービスのアーロン・ピアースなど協力者が存在する。最大の理解者は元大統領のデイビッド・パーマーで、いくつのも危機を共に乗り越えた仲間として2人は深い友情で結ばれている。デイビッド・パーマーの弟で、かつて大統領首席補佐官を務めたウェイン・パーマーも理解者の1人だ。

○結局、ジャック・バウアー頼みである

 「24」において、CTUをはじめとするアメリカの国防システムは常に機能しない。豊富な予算と優秀なスタッフを抱えながら、毎回のごとくテロリストに振り回されるのは、国防組織が官僚主義で硬直してしまっているから。事なかれ主義や足の引っ張り合いが横行するばかりか、テロリストのスパイが政府内にまで潜んでいる。結局、暴走男のジャックだけが頼りとなるのだ。

■余力があればチェック!シーズン4の4エピソード

 シーズン5がシリーズ最高傑作であるとすれば、シーズン4はその次に優れていると言えるだろう。もっとも低調だったシーズン3の反省もあってか、シーズン4ではキャストを一新。エピソードが進むに連れて、懐かしのキャラが助っ人として登場するという粋な展開となっており、初心者にも優しい作りになっている。時間が許すのなら、ぜひともシーズン4から「24」の世界に入って欲しいところだが、あくまでシーズン5への予習ということなら以下のエピソードをお薦めする。

【シーズン4】

○7:00AM-8:00AM/第1話
ジャック・バウアーと恋人オードリー・レインズとの関係をおさらい。

○11:00PM-12:00AM/第17話
ダメダメなジョン・ローガン副大統領が、大統領に就任。

○1:00AM-2:00AM/第19話
コンピューターおたくのクロエが、テロリストと決闘する羽目に!

○6:00AM-7:00AM/第24話(最終話)
ジャック・バウアーを救うトニー、ミシェル、クロエ、デイビッド・パーマー元大統領の友情に涙。

(小西未来)

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