【独占インタビュー】「ウォーキング・デッド」新たな敵アルファは“悪役”ではない?サマンサ・モートンの真意

2019年3月29日

サマンサ・モートン演じる新たな敵アルファ
サマンサ・モートン演じる新たな敵アルファ
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 大ヒットサバイバルドラマ「ウォーキング・デッド」シーズン9(放送・配信中)後半に、新たな敵として登場する“アルファ”。ウォーカーのマスクを被って生活するという衝撃的なキャラクターを演じているのは、オスカーノミニーの英女優サマンサ・モートンだ。アルファという役の捉え方、「ウォーキング・デッド」ファミリーの一員になったことへの興奮などを語ったインタビューを、映画.comが日本独占入手した。

※ネタバレ注意!! この先、シーズン9までの内容に言及している箇所があります。

 シーズン8最終話で、主人公リック・グリムスが束ねた4つのコミュニティ「アレクサンドリア」「ヒルトップ」「王国」「オーシャンサイド」の連合軍は、ニーガン率いる「救世主」との全面戦争に勝利。シーズン9は、強大な敵が去ったことと、リック役のアンドリュー・リンカーンが第5話を最後に降板したことで、シリーズ最大の節目を迎えている。そんななかに現れた新たな脅威が、ウォーカーのように振る舞う「囁く者(ささやくもの)」だ。ウォーカーを“守護者(ガーディアンズ)”と呼び、世界の支配者が人間ではなくウォーカーになったと信じる彼らのリーダーであるアルファは、生き延びるために弱い者を徹底的に排除していくのだった。

■「細部に命を吹き込むことが、俳優の役割」

――アルファ登場のシーンは、ウォーカーが突然背筋を伸ばして言葉を話したようで、今までとは異なる恐怖に戦慄します。彼女のなかに潜む悪を細かな演出で表現していますね。

 「その通りです。ジャングルや森に迷い込んだ子どもがオオカミやクマに育てられる話があるけれど、長くウォーカーと過ごしてきたアルファもそれに似ていますね。彼女はウォーカーを自然に理解し、その息使いや歩き方を習得して、彼らのなかに溶け込めるのです」

 「森のなかで木を眺めると、最初はその木しか見えませんが、よく見るとツタが見えて、さらに見ると樹皮が見えてくる。もっともっと見るとコケに気付き、今度はそのコケが持つ様々な色にも気が付く。そして木を登る小さなアリまでもが見えてくる。細部で多くのことが語られています。どんな役柄においても、そのような細部に命を吹き込むことが、俳優の役割だと思っています。とても細かいのですぐには気が付いてもらえない演出も、たくさんあるのです」

――アルファという人物にも、そのような層があるのでしょうか?

 「もちろんです。エピソード10で、彼女の過去が紹介されます。ダリルに捕まったアルファの娘であるリディアが記憶の断片をたぐりながら語る場面です。でも、リディアの記憶はどこまでが真実で、どこまでが想像なのかがよく分からない。(その回想シーンを)演じたときは、夢のなかの夢、そのさらに夢のなかの出来事を演じていました。これはアルファではなく、あくまでもリディアが覚えている過去ですから。でもその場面では、ひとりの母親がアルファという戦士に変貌を遂げる姿が見られます。ものすごいシーンなんですよ!」

■ゾンビメイクのクオリティに「食事も忘れて見つめたことも……」

――セットはどんな雰囲気ですか?

 「抜群に優秀な家族の一員になるような感じですね。この番組のクルーにはきちんとしたルーチンがあって、皆それぞれの役割をしっかりと確立しています。いわゆるエキスパートなんです。そんな彼らが私を迎え入れてくれたのですから、最高の気分でした」

――ゾンビメイクを間近で見た感想は?

 「精巧な仕上がりやこの規模の特殊効果は、大きな予算が組まれた映画なら納得ですが、テレビ番組で何台ものカメラや大勢のエキストラを交えて同じことをやっているなんて……。メイクを担当している方々は、その分野の最高峰の人たち。驚くような技術を持っています。俳優としてだけではなくいちファンとして、『すごい、ちょっと触っても良いですか?』という感じでしたね。あるときは、自分の食事も忘れてそこにいた男性をじっと見つめてしまったんです。『本当にごめんなさいね。あまりにもメイクが素晴らしくて』って彼に謝りました」

――その技術も手伝って作品の世界に没頭できるのですね。

 「そうですね。夢のようとしか表現できません。すべてにおいていつもとかってが違うんです。気温も景色もクルーの連帯感も。セットにいると、この物語のなかで生きているように感じるんです。もちろん全部作り物で、演技で、それぞれが自分の仕事をしているだけなのですが、リアルを追求するという点で一切の妥協が許されていないのです。こんなことを実現した人たち、番組を作り出して今まで続けてきた人たちには畏敬の念しかありません。ショーランナーであるアンジェラ(・カン)の『ウォーキング・デッド』の世界観にも強い感銘を受けます。何年も続いてきた番組にも関わらず、新鮮でエキサイティングに感じられるんです」

■アルファは“悪役”ではない?

――「ウォーキング・デッド」にはこれまで印象的な悪役たちが登場してきました。総督、終着駅の人たち、ニーガンら「救世主」たち。そして今度はアルファ率いる囁く者たちです。過去の悪役たちについて考えることはありますか?

 「私個人としては、アルファを悪役とは捉えていないんです。狂気的であろうとも、彼女の行いはすべてある種の純真さと一途さに基づいているように思えるからです。残忍な行いをしてきた歴史上の人々を振り返ると、彼らは自分の行動が神の教えに沿っている、あるいは、何らかの正当な根拠があると思い込んでいる節があります。だから、決して『よーし、悪いヤツを演じてやるぞ!』という勢いで臨んでいるわけではないんです。アルファはとても冷静で明確な意思を持っているのです。そういう意味で、とても危険な人物ではありますね」

――原作コミックに登場するアルファ同様、髪も剃られましたね。

 「そう! 坊主頭のカツラも検討されたのだけれど、(ロケ地である)ジョージアの暑さのなかで、一日中頭をいじられるのはつらいと思ったんです。それに、私も制作陣も可能な限りリアルさを追及したかった。だから、やってやろうじゃない、髪をなくしちゃいましょう! って。でも日焼け止めはたっぷり塗ってね、って伝えましたけどね(笑)」

 「非常に嬉しく思うのは、この役が女性であるということ。最高ですね。こういう役は、普通は男性を念頭に脚本が作られますから。社会全体において、『(男女問わず)あなたならこの役を演じられますね。よし、ではそういう配役にしましょう』という例がやっと増えてきました。素晴らしいことですよね。このことも含めて、どんなことでもいいので視聴者がアルファに反応してくれることを強く願っています」

■家族でアメリカに移住を決断「女優は役が少なくなっていくことも事実」

――撮影のためにアメリカに移住することは、あなたとご家族にとって、覚悟のいる選択だったと思います。いかがでしょう?

 「子どもを持つ親として過ごしてきたこの19年間と、何ら変わることはないです。地元には仕事がまったくないので、俳優として常に家を離れた生活を送っていますから。ただし、今回の思い切った決断をするまでには、いくつかの条件がそろう必要がありました。『ウォーキング・デッド』に関しては、最初の条件は役どころでした。本当にいい役なのか、家族全員の移住に値する役なのか、冒険をするだけの価値があるのか、と。これまでも、条件のうちひとつだけがとても良いというオファーならたくさんありました。例えば出演料が破格だとかね。でも、役どころがつまらなかったり、ロケ地がひどかったりするんです。お金がすべてではなく、家族が幸せでいられるか、良い学校が近くにあるかということが大切。一方で、女優は演じられる役が少なくなっていくことも事実です。その人がどれだけ優秀な女優かに関わらず、いつだってほかの素晴らしい女優たちがその役を奪う準備をしているものです。さまざまな理由でね」

 「そんななか、『ウォーキング・デッド』の場合は、すべての条件が満たされました。役はもちろん素晴らしいですし、ロケ地も。もともとイギリスの家は国立公園のなかにあるので、(ロケ地のような)田舎も大好きなんです。多くの要素が見事に合いました。この役を与えてもらえたことを、本当に光栄に思います」

 「ウォーキング・デッド」シーズン9は、FOXチャンネルで毎週月曜22時から日本最速放送。FOXチャンネルはHulu、U-NEXT、スカパー!、J:COM、ケーブルテレビなどで視聴可能。

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