REGENESIS リ・ジェネシス シーズン1 : 特集

21世紀は“ミクロ”の脅威の時代!

 テクノロジーの進化が当たり前のように思われている21世紀だが、人類が数々の目に見えない脅威にさらされ続けている現実は、20世紀、いや、それ以前と大きくは変わらない。特に近年では放射能、地球温暖化などの問題と並び、ウイルスやDNAなどミクロの単位の脅威が勢いを増している。

 伝染病の歴史をひも解くと、14世紀の欧州ではペストの大流行によって人口の3割が命を落としたといわれ、1918年からはスペイン風邪が全世界に広まり、6億人が感染したといわれる。天然痘の根絶が宣言されたのも1980年のことだ。近年でも、1980年代から広まったAIDS(後天性免疫不全症候群)にはいまだに決定的な治療法が見つからず、1976年に見つかったエボラ出血熱は2001~2002年にもアフリカの一部で流行した。

 そして2001年、米国で起きた同時多発テロ事件ではテロリストの炭疽菌保有も確認された。1986年には狂牛病(牛海綿状脳症)が見つかり、2002年からはSARS(重症急性呼吸器症候群、別名:新型肺炎)が流行し、鳥インフルエンザは1997年から数年おきに確認されている。1970年代以降、急激に進歩したグローバライゼーションの時代、人間や物資が国境を越えるのが当たり前になったこともこれらの脅威を強化しているのは皮肉だ。

 だが人類の方も何もしていない訳ではなく、DNAなど進化したバイオ・テクノロジーを用いて、これらに対抗している。「Re:Genesis リ・ジェネシス」はそんな現代だからこそ生まれた、リアルで、知的で、迫力があるサスペンス・ドラマだ。

 各エピソードが取り上げるのは、
☆人間は感染しないはずのラクダ痘に似た人工ウイルスを使った「バイオ・テロ」
☆ 自分が「クローン人間」だと信じた少年の出現
☆ 「プリオン(牛や人間の脳を破壊して死に至らしめる異常タンパク質)疾患」
☆ 白血病に対する「遺伝子治療」
☆ 「バクテリア」が原因の大停電
☆ 「スペイン風邪」
☆ 「汚染水のリサイクル」
☆ 「遺伝子組み換え」
☆ 「幹細胞」
☆ 「HIV」
☆ 「マーブルグ熱」
☆ 「生物兵器」

……など、いずれも現代人なら知っておいて損はないキーワードばかり。そうした情報性の高さも「Re:Genesis リ・ジェネシス」の魅力といえよう。

 だが「Re:Genesis リ・ジェネシス」がスリリングなのはこうした未知の脅威を取り上げるだけでなく、そうした非常事態に社会がどう対応するのかをリアルに描いた、社会派ドラマとしての側面だ。

 科学的でありながら社会派でもあるという2つの特徴を同時に持った「Re:Genesis リ・ジェネシス」。DVDで一気に見て、そのディープな世界を堪能したい。

いま人気なのは“サイエンス・コース(理系)ミステリー!”

 20世紀末、世紀末ムードにシンクロするかのように、謎めいた要素を満載した「X-ファイル」が世間を騒がせたが、その反動か、全米では事件を論理的かつ科学的に突き詰める、いわば“サイエンス・コース(理系)ミステリー”という各作品が主流に躍り出た。その代表格はやはり「CSI:科学捜査班」に始まり、「CSI:マイアミ」「CSI:ニューヨーク」と続いている、「CSI」シリーズだろう。他にも全米TV界では、法人類学者がヒロインの「BONES」、プロファイリングが題材の「クリミナル・マインド FBI行動分析課」もヒット中だ。

 並外れた行動力を誇る「24」のジャック・バウアーだってパソコンやIT(情報工学)に強く、今や現代のヒーローにとって理系の素養は欠かせないといえよう。「ER 緊急救命室」「グレイズ・アナトミー」など、医師を主人公にしたドラマはいつの時代も人気だが、これらも理系ミステリーの要素を含んでいる。

 同じようにメンバーのいずれもが捜査官であると同時に科学者である“NorBAC(北米バイオ諮問委員会)”の活躍を描いた「Re:Genesis リ・ジェネシス」は、そんな理系ミステリーの決定版といえそうだ。目に見えない恐怖こそが本当に恐ろしい時代を反映した、これはリアルな“警告”なのである。

(池田敏)

ページTOPへ(c)2004 Shaftesbury ReGenesis I Inc. and 2005 Shaftesbury ReGenesisII Inc.

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