「Lの世界」の注目キャスト3人、ジェニファー・ビールス、キャサリン・メーニッヒ、ミア・カーシュナーと製作総指揮のアイリーン・チェイケンへ直撃インタビュー。
女同士のラブシーンはとてもラク!
■ジェニファー・ビールス(ベット役)
![]() |
| (C)2008 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. |
――このドラマはあなたが今まで出演してきた作品とはずいぶん違います。出演を決めたポイントはどんなところでしょう。
「ベットはタフで自信たっぷりだけど、不安を抱えているから感情的になりやすくて、そういう微妙さを演じるのはおもしろいかなと思ったの。私は泣き虫で彼女ほどタフではないし、怒っているのに論理的に話すことなんて絶対にできないけど」
――ベットは美術館のキュレーターをしていますが、リサーチなどは?
「ベットはキュレーターとして展示内容を考えるだけでなく、美術館の運営管理や資金調達もする特殊なポジションなので、ハマー美術館(ロサンゼルスにあるUCLAが管理する美術館)の女性館長に話を聞いたわ。それから母にも。私の母はシカゴにある美術館の日本コレクションで働いていて、完璧ではないけど日本語を話すの。だから母と一緒に日本に行くのは楽しいのよ」
――はじめて同性とラブシーンを演じたときは、緊張しました?
「突然、最初のラブシーンを演じることになって、自分が全然知らないことに気づいたけど、心配するのはやめたわ。他のシーンと同じように演じればいいと気づいたから。実際にやってみると“ヒップの脂肪を見られたくないから、ここに手をおいてくれない?”と頼むと、すぐに分かってもらえるの。男性だったら“君はステキだよ”とか、ちょっとした慰めを言ったりするんだけど。女同士のラブシーンはとてもラクよ」
――このドラマに出る前と後では、レズビアンの女性たちに対する考え方や受け取り方が変わりましたか。
「完全に変わったわ。正直に言って、私はこのドラマに出るまでレズビアンに対する視点は持ち合わせてなかったので、問題意識が高まったのは確かね。たとえば私と夫が子供を学校に入れてもなんの問題もないけど、レズビアンの人たちと子供は温かく迎えられるとは限らない。彼女たちは私が体験しないようなことにも対処しているのよ」
「ボーイズ・ドント・クライ」のオーディションも受けたわ
■キャサリン・メーニッヒ(シェーン役)
![]() |
| (C)2008 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. |
――あなたが演じる美容師のシェーンは、どんなキャラクターですか?
「彼女は女性らしさと男性らしさを体現しているから、どんな人間か簡単に特徴づけることができなくて、そういうところがおもしろくて好き。女性のキャラクターって、あからさますぎて簡単に分かっちゃうものが多いけど、シェーンはその反対。身体的特徴や身のこなしが彼女の考えていることを表しているから、最初の頃はそのへんに頭を使って演じていたことを覚えてる」
――シェーンは女性が女性を誘惑するという興味深いキャラクターです。撮影が始まる前にリサーチしたことはありますか。
「リサーチはしなかった。自分の経験を参考にして、直感で翔んだ!という感じ。シェーンはすごく孤独で、自己破壊的な人間だと思うわ」
――あなたの話を聞いていると、シェーンと話しているような気分になります。あなたとシェーンは似ていると思いますか、それとも距離を感じますか?
「シェーンと話してる感じがするのは、今も撮影中で、シェーンの衣裳を着て、ヘアメイクをちゃんとしてもらっているから。私は一応、シェーンにも品行があると思っているけど、彼女の品行とか道徳観は私とは全然違う。彼女は友人関係でも、仕事でも、人生一般でも、素晴らしい機会をたくさん与えられるのに、ぶち壊す道をみつける。誰でもある程度そういうところがあって、私にも少しはあるけど、彼女よりずっと誠実よ。シェーンはその傾向があまりにも強くて、あんな風に壊れてることに同情するわ。彼女と私の共通点を探すなら、ひとりで過ごすのが好きってことくらいかな」
――「ボーイズ・ドント・クライ」の主役、ブランドン役のオーディションを受けたと聞いています。ブランドン役で考えたことは、今回のシェーンに生きていますか。
「影響があったとは言えないかな。あれは私が初めて受けたオーディションで、監督やプロデューサーに会うところまでいったし、重要な映画がどう作られるかを見られただけでも貴重な体験だった」
「24」のマンディがレズビアンに!
■ミア・カーシュナー(ジェニー役)
![]() |
| (C)2008 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. |
――日本人にとってあなたは、「Lの世界」の前に「24」で演じた破壊工作員マンディで知られています。あのキャラクターは強烈でした。
「マンディはこれまでに演じたなかでお気に入りのひとりなの。血も涙もなくて、登場するだけでひどいことが起こると予測がつく空想キャラだから、演じるのは最高に楽しかった。私のように小柄な女優が、破壊工作員に起用されるのは素晴らしいことよ」
――今回「Lの世界」で演じるジェニーは、自分がレズビアンだということに気づいていくキャラで、レズビアンの世界を知らない人の案内人にもなっています。
「最初、ジェニーには男性の恋人がいたし、ズケズケものを言うタイプじゃないけど、ドラマの進行につれて良くも悪くも本領を発揮するようになっていく。彼女は変わり続けていて、次に何をするか分からないの。正しいことをしようとしているけど、そういう時に限ってまちがったことをするタイプなの。人はたいていの場合、相手を選んで恋に落ちるわけじゃなくて、とにかく恋に落ちてしまうでしょ。ジェニーはマリーナと恋に落ちて自分はレズビアンだと気づくけど、そのずっと前からそうだったと思うわ」
――確か「私はユダヤの娘だから」というセリフがあったと思います。それはあなた自身のアイデンティティと重なりますか。
「ええ。父は収容所で生まれ、母は第2次大戦後にブルガリアで生まれた。私は信心深くはないげとユダヤ系であることに誇りを持っているし、世界観も形成している」
――そういうキャラクターにしようというのは、どう決まるのですか。
「映画は監督主体だけど、TVの場合はクリエイターや脚本家のほうが監督より言いたいことがあるみたいね。結局のところジェニーはアイリーン(製作総指揮のアイリーン・チェイケンのこと)の創作物。彼女は俳優にアドリブを許してくれる人で、それってTV番組ではすごく例外的なことなのよ」
ストレートの人たちにもウケたのはストーリーの普遍性
■アイリーン・チェイケン(製作総指揮)
![]() |
| (C)2008 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. |
――あなた自身の体験がベースになって、このドラマが生まれたと聞いています。それはどんな形で、ストーリーやキャラクターに投影されているのでしょう。
「私の人生や生きてきた世界を反映しているのは確かだけど、自伝的ドラマではないの。もう番組が始まって5年もたつので、私に似ているキャラクターをひとり挙げるのは難かしいわね。でも番組がスタートした頃は“ベットは今の私で、ジェニーはずっと若かった頃の私”と言っていました」
――番組を作ろうと決意する、なにか具体的な出来事があったのですか。
「長年付き合ってきたロサンゼルスのレズビアンたちを見ていて“そろそろこういうストーリーをTVで見てもいいんじゃないの?”と思ったのが始まり。でもレズビアンの群像ドラマが簡単に作れるとは考えられなかった。まず2000年にロサンゼルス・マガジンに特集記事を書き、その雑誌を持ってケーブルTV局のショウタイムに売り込んだわけなの。すごく長いプロセスでしょ」
――ゲイのドラマとレズビアンのドラマの違いについて、どう考えますか?
「レズビアンのドラマの方が少しばかり見やすいし共感を呼びやすいかもしれない。世間の人たちはレズビアンよりもゲイの男性に脅威を感じるらしいので。『Lの世界』は女性の物語ということが、視聴者をひきつける要素のひとつになったと思います」
――番組が始まると大きな話題になりましたが、ストレートの人たちに受けたのはどんなところだと思いますか。
「ストーリーに普遍性があるからでしょう。これは恋愛関係を描いていますが、レズビアンにせよストレートにせよ、恋愛について話したり、付き合ったり、別れたり、家庭を築いたりする番組は、それほど多くはないのです。もうひとつの理由は、レズビアンの人たちの生活や意見がまだ知られていないことです。見ている人たちは自分たちが知らないことや、なじみのないライフスタイルを教えてほしいと期待しているのです」
ゲイ・コミュニティにそっくりさんが続出したファッションの魅力
■コラム
![]() |
| (C)ryo okamura |
「キャラクターでいうと、ベットはグッチやプラダが多くて、シェーンはメンズ・ディオール系、アリスはアルマーニをよく着ています。第3シーズンはスケートボードがドラマのキーになってたので、ロサンゼルスにあるのエルモア・アベニューという地元ブランドを使いました」
こう言うのは「Lの世界」の衣裳を担当するシンシア・サマーズ。おしゃれなレズビアン・ワールドを、ファッションで作り出している女性だ。番組がスタートした2004年の第1シーズンは服を慎重に選んでいたが、第2シーズンはデザイナー・ブランドを増やしてキャラの差別化をしつつ華やかにしていったと言う。たとえばロサンゼルスやニューヨークでそっくりさんが生まれたキャサリン・メーニッヒが演じるシェーンの場合は、最初はロックンローラーぽいスタイルだったが、パンクぽいスタイルへ変わって、今は独自のスタイルに落ち着いている。色はモノトーンが中心で、赤がさし色といったところ。
「いつもステレオタイプにならないように注意しています。キャラクターごとに独自のスタイルを確立したり、挑発的なスタンスにしてみたり。いったんステレオタイプを打破してしまうと、服のセレクションの幅がすごく大きくなります」
ステレオタイプにならないようにというサマーズの言葉は、デザイナー・ブランドに地元ブランドをミックスしたりする工夫によく表れている。
(おかむら良)
ジェニファー・ビールス女同士のラブシーンはとてもラク!
キャサリン・メーニッヒ「ボーイズ・ドント・クライ」のオーディションも受けたわ
ミア・カーシュナー「24」のマンディがレズビアンに! アイリーン・チェイケン(製作総指揮)ストレートの人たちにもウケたのはストーリーの普遍性 コラムゲイ・コミュニティにそっくりさんが続出したファッションの魅力








