LOST シーズン6 : インタビュー

■ホルゲ・ガルシア(ハーリー)「これだけ謎がたくさんあるのに、みんなが知りたいのは僕の体型?(笑)」

※多少ネタバレあり
――シリアスなキャラクターが多いなかで、ハーリーの存在は貴重ですよね。

「うん、コミカルな役を演じるのはすごく楽しい。『LOST』は緊迫した場面ばかりだから、ハーリーのようなキャラクターがいないと、視聴者は息継ぎを忘れて窒息してしまうから。それに、ハーリーは視聴者の目線でコメントをするのがいいよね。TVを見ているみんなが思ったことを、そのままずばり口にしてくれる。シーズン5でタイムトラベルが出てきて、話がややこしくなったときも、ハーリーが周囲に質問をすることで、視聴者が理解しやすくなったし」

――シーズン1のときは、無人島で生活しているにも関わらず、ハーリーの体型が変わらないことがインターネットで話題になりましたよね。その結果、シーズン2では、ハーリーが食料の貯蔵庫を発見する、という展開が追加されて。

「うん。ハーリーの体型に関しては、番組が始まった当初、ファンが最も知りたい謎のひとつだった。それを聞いたときは、ぼくは呆れたよ。“これだけ謎がたくさんあるのに、みんなが一番知りたいのはそれ?”って(笑)」

――(笑)

「そもそもこれはTVドラマなんだから、出演者の体型が短期間で変化するわけがない。男性陣のヒゲや女性陣の髪がぼさぼさにならないのと同じ理由でね」

――多数の登場人物のなかで、ハーリーは常に人気がありますが、その理由はどうしてだと思いますか?

「それは、ぼくにも分からないよ。ただ、ハーリーは善行を行ってヒーローになろうとか、あるいは、悪事を働いてやろうとか、そうした長期的な目標や戦略をまったく持ち合わせていない。常に、目の前の問題を解決することだけに集中するところがぼくは好きだね」

――もともとあなたはソーヤー役のオーディションを受けたんですよね。それで、制作陣に気に入られて、ハーリーという新キャラクターが生まれました。つまり、ハーリーのモデルはあなたということになりますよね。

「確かに、かなり共通点がある。唯一の違いは、ハーリーのほうが誤字脱字がひどいということくらいで(笑)」

――(笑)

「自分のために作ってもらったキャラクターなので、最初の頃は、“自分だったら、どうするだろう?”って考えながら演技をしていたんだ。その後、彼のバックストーリーがつぎつぎと作られて、悪運に取り憑かれていると信じていたり、かつては精神病院にいたことが明らかになった。そこらへんのことについては想像力をフルに働かして、なんとか対応しているよ」

――シーズン6で「LOST」も最後になりますが、これまでを振り返っていかがですか?

「とてもシュールな気分だね。ハワイにやってきたときのぼくは、ほとんど無名だった。でも、最終シーズンを終えてロサンゼルスに戻るときには、それなりに有名になって、しかも金銭的にも恵まれた状態になっている。まるで遠くに出稼ぎに出かけて、大金を手に家族のもとに帰るような、とてもロマンティックな気分だ。『LOST』は、これまでぼくが関わったなかで最長で、最良の仕事だった。実際、役者としてこれほど多くのスキルを要求されたことはなかった。ハーリーは愉快で面白い男だが、同時に悲劇もたくさん経験したし、短いロマンスも体験した。そして、最近のシーズンでは、自分の立ち位置をはっきりとさせ、ヒーローとして正しい行いを率先して行うようになった。たとえば、悪者を車で轢いたりね。こんなクールなキャラクターを演じさせてもらえて、本当に幸せだよ」

(小西未来)

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