LOST シーズン6 : インタビュー

■ネスター・カーボネル(リチャード)「リチャードの正体はアライグマだった、という説がお気に入りだよ」

※多少ネタバレあり
――年を取らない謎の男を演じる気分はいかがですか?

「正直、ものすごいプレッシャーだよね。老け込まないように、スキンケアに気をつかうようになって(笑)」

――(笑)

「役者としてこんなうれしい挑戦はないよね。ぼく自身、このキャラクターがそんな秘密を持っているだなんて、シーズン3の後半になるまで知らなかったんだ。だから、脚本を読んだときはものすごく驚いたよ。彼の正体や不老の理由はいっさい説明されず、正確な年齢すら分からない。どうやって演じればいいんだと頭を抱えたよ。同時に、これほどミステリアスな役を与えられて、ものすごく興奮した」

――リチャード・アルパートの正体についてはさまざまな憶測がありますが、お気に入りの説はありますか?

「彼は、実はアライグマだっていう説(笑)」

――ああ、あなたのまつげが濃いからですね(笑)

「笑えるよね。でも、みんなが考えた憶測には大いに刺激を受けるよ。ぼく自身もそうやって想像しながら、演技をしてきたわけだし」

――ファイナルシーズンで、彼の年齢は明かされましたか?

「今では、だいたいの想像はつく。この場では言えないけれど(笑)」

――リチャード・アルパートの過去が明かされるのですか?

「うん。彼がどこからやってきたのか、きちんと説明されている。ぼく自身、このエピソードの脚本を渡されたとき、ぶっとんだ。だから、視聴者も同じように感じてくれると思うよ」

――では、ファイナルシーズンではすべての謎が明かされることになるのですか?

「たくさんの謎の答えが明かされる。新たな謎よりも、答えのほうが多い。でも、脚本を受け取るたびに、“また、新しい謎が出てきた!”って、びっくりさせられるんだけど(笑)」

――やっぱり(笑)

「謎の答えを提示するにしても、説明しすぎず、解釈の余地を残している。これは、素晴らしいバランス感覚だと思う。超常現象を完璧に説明してしまったら、ミステリアスな魅力がなくなってしまうからね。きっとファンは喜んでくれると思うよ」

――そもそもどういうきっかけで、出演が決まったんですか?

「まずオーディションの話があって、前日に脚本を渡されたんだ。すばらしい脚本だったけれど、10ページも台詞があって、子供の学校の都合などもあって、とても準備をする時間がなかった。それで辞退することにして床についたんだ。でも、翌朝、やっぱり行くだけ行ってみようと思って、オーディションに出かけた。だから、オーディションの部屋に入ったとき、ぼくはまったく準備をしていなかったんだ。こういうときって、たいていはひどい結果に終わるのが常だけど、このときはなぜかとても調子が良くて。その日の夜には合格の知らせをもらって、出演が決まった。ただ、まさかこれほど大きな役に成長するとは想像もしていなかった。ジュリエットのフラッシュバックに登場する採用担当、っていう設定だったから」

――シーズン4でほとんど出番がありませんでしたが、それはスケジュール上の都合ですか?

「うん。『Cane』という新ドラマに出演契約をしていたからね。でも、途中で放送中止になったので、こちらに戻ってくることができたんだ」

――もし、「Cane」が放送中止になっていなかったら、アルパートはどうなっていたんですか?

「見当もつかないよ(笑)。たぶん、脚本家たちは大幅な変更を強いられていただろうね。ただ、製作総指揮の2人のインタビューを読んでも分かるように、彼らにはずっと前からエンディングの構想があった。でも、そこに至るまでのプロセスが流動的だったんだ。だから、どの時点でアルパートがエンディングに絡む重要なキャラクターに成長したのか、ぼく自身にも分からない。もし、『Cane』が続いていたら、まったく違った形の『LOST』になっていたかもしれないね」

(小西未来)

「LOST」の作品トップへ