LOST シーズン3 : 特集

ネタバレ注意!本文はネタバレを含んでおりますのでお読みの際はご注意ください。

シーズン3で見せた新たな手法と今後の展開

 シーズン3の最終話を観てしまったあとでは、この先の展開を予想しようだなんて、おこがましい行為のように思えてしまう。

 シーズン2の最終話で、デズモンドが強制終了させたハッチは爆発した。かつてデズモンドがハッチの数字を押し遅れたとき、その強力な電磁波は遙か上空を飛んでいたオセアニック航空815便を墜落させた。今回は、さらに長い時間、電磁波が放出されたため、思いもよらない異変を巻き起こした可能性がある。そして、ハッチ内にいたロック、ミスター・エコー、デズモンドは無事なのか?

 「LOST」といえば、島で進行するドラマにフラッシュバックを織り交ぜた構成がトレードマークだった。しかし、最終話“Through the Looking Glass Part 1 & Part 2 ”(日本語題は「決行」と「終わりの始まり」)では、フラッシュバックの部分が、何の説明もなくフラッシュフォワードにすり替わっていたのである。

 未来を垣間見せるフラッシュフォワード手法は、映画やドラマでは滅多に使われることがない。観客を混乱させるリスクが高いうえに、未来を見せてしまうことで、現在進行しているドラマの興を殺ぐことになりかねないからだ。しかし、“Through the Looking Glass ”はどうだろう。島を脱出した未来の主人公たち――ジャックは不幸のどん底にあり、島に戻ることをなによりも望んでいるのだ!――を見せることにより、ファンの知的好奇心をこれ以上ないほど煽ってみせたのだ。

 しかも、今度の「LOST」では、従来のフラッシュバックと平行してフラッシュフォワードも用いられるようになるという。こんな大胆なテクニックを3年近くも隠し持っていたクリエイター連中(現在は、デイモン・リンデロフとカールトン・キューズが舵取りをしている)にはつくづく頭が下がるし、彼らを信じてついてきて良かったと心から思う。たぶん、「LOST」のファンも、みんな同じ気持ちじゃないだろうか。

 新たな展開に毎回驚かされてばかりだから、全米放送が始まってもいないシーズン4について、予想なんてできるわけがない。唯一分かっていることがあるとすれば、シーズン6まで続くことがすでに決定しているため、島の謎については明らかにならないだろうということくらいである。ただし、“他のものたち”が捜索隊を寄せつけない仕掛けを張り巡らし、別組織もこの島を探し求めていることから、特殊な資源があることは想像できる。

 また、帆船ブラックロック号が座礁していたり、4本指の不気味な銅像があったりすることから、歴史もかなり古い(“ダーマ・イニシアチブ”がやってきたのは1970年代のことだ)。シーズン3で島が妊婦に害を及ぼすことが明らかになったので、サンやケイトの今後の体調の変化から、ヒントを掴むことができるかもしれない。

 “他のものたち”のリーダー、ジェイコブの正体もついに明かされることになるかもしれない。個人的にもっとも注目しているのが、“他のものたち”のリチャード・アルパート(ネスター・ カーボネル)だ。彼はどうして年を取らないのか? もしかすると、彼が島の謎を解く鍵かも……。

 こうしてあれこれ思索に耽ることができるのが、「LOST」の最大の魅力かもしれない。

(小西未来)

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