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カテゴリ:テレ中のつぶやき

第4回 ホワイトハウスの晩餐会に侵入したサラヒ夫妻も、リアリティ番組の出演者だった!

第4回 ホワイトハウスの晩餐会に侵入したサラヒ夫妻も、リアリティ番組の出演者だった!

サラヒ夫人はオバマ大統領とちゃっかり握手
サラヒ夫人はオバマ大統領とちゃっかり握手
Photo:Getty Images/アフロ

 ホワイトハウスで開かれた公式晩餐会に、招かれざる客が紛れこんでいた騒動の余波はいまだに続いている。事件が起きたのは11月24日の夜。厳重な警備を誇るはずのホワイトハウスに無名の中年夫婦がアポなしで侵入したどころか、副大統領らとちゃっかり記念写真まで撮影し、パーティを満喫していたことが発覚した。シークレットサービスのトップが公聴会で陳謝するなど大問題に発展しているが、気になるのは大胆不敵な行動を取ったサラヒ夫妻の正体ではないだろうか。呆れるほどのふてぶてしい行動やカメラの前で見せる満面の笑みから怪しいと思っていたが、やはりリアリティ番組が関与していることが明らかになった。妻ミシェル・サラヒは、現在撮影中の「The Real Housewives of Washington DC」の出演者だと、同番組を放送するBravoが正式に認めたのである。

 「The Real Housewives of Washington DC」とは、06年にスタートした「The Real Housewives of Orange County」の新スピンオフだ。「The Real Housewives of Orange County」とは、人気ドラマ「The OC」の舞台ともなったカリフォルニア州オレンジカウンティに住む主婦たちの生活を描くリアリティ番組で、彼女たちのゴージャスな暮らしぶりと、醜態(髪を引っ張りあって喧嘩するのは日常茶飯事だ)を描いて人気を博している。その後、「The Real Housewives of New York City」「The Real Housewives of New Jersey 」「The Real Housewives of Atlanta」と他の都市に舞台を移したスピンオフがつぎつぎと生まれ、首都ワシントンDCを舞台にした「The Real Housewives of Washington DC」はその最新版なのだ。

 「The Real Housewives of Washington DC」は、来年の放送開始予定だ。Bravoによると、サラヒ夫妻が晩餐会に招待されたと言うので、ホワイトハウスに乗りつけるまで、撮影隊は密着取材をしていたという(撮影隊は、晩餐会への参加を許可されなかった)。おそらくサラヒ夫妻の目的は、ホワイトハウスの晩餐会に招待されるほどの社交家として世間にアピールすることだったのだろう。「The Real Housewives of Washington DC」で今回の出来事が放送されたら、サラヒ夫妻は確実にハクを付けることができたはずだ。

 しかし、SNSサービスのFacebookに自慢話を載せたのは余計だった。これによりワシントン・ポストの記者が彼らの正体に気づき、事件が発覚することになったのである。いまではあらゆるメディアがサラヒ夫妻の履歴を調べ上げ、嘘だらけのプロフィールや借金・訴訟問題が暴かれている。これだけの騒動を起こしたのだから、「The Real Housewives of Washington DC」の出演場面がカットされる可能性もある。

 サラヒ夫妻はNBCの朝の情報番組「Today」に出演し、加熱するマスコミ報道のせいでプライバシーが侵害され、「自分たちの生活が破壊された」と窮状を訴えた。しかし、乱入したのは彼らのほうだし(当人たちはいまだに「招待された」と主張しているが)、そもそもプライバシーを守りたいのであればリアリティ番組などに出演すべきではない。リアリティ番組で名声を得ようとして無様に失敗したのは、先日の「気球坊や」の両親とまったく同じパターンである。アメリカには、TVに出るために手段を選ばない人間がそれだけ存在するということなのだ。

 ちなみに、投稿型のオンライン英語辞書Urban Dictionaryには、早くも「サラヒ」が「乱入する」という意味の新語として掲載されている。例文によると、「5年間も友達なのに、パーティに招待してくれないってどういうことなの? ぜったいサラヒしてやるわ!」というような形で使うのだとか。すでに、気球坊やの親「ヒーネ」も「注目を集めるために周到な嘘をでっち上げる人間」という新語としてすでに登録されていた。リアリティ番組の数だけ新語が生まれていくことになりそうだ。

小西未来 ( こにし・みらい )
71年生まれ。LA在住のフィルムメーカー。 CUTにて「映画の『科学と学習』」「ハリウッド通信」連載中。公式サイトはこちら)。 写真:小西未来