「刑事コロンボ」を例に挙げるまでもなく、探偵モノといえばアメリカドラマの王道である。が、「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」にはいくつかのツイストが加えられている。
たとえば、探偵の経歴だ。主人公マイケル・ウェストンは数々の死線を越えてきたCIAスパイという設定だ。ある日、ナイジェリアでの諜報活動中、マイケルは自分が解雇されたことを知る。エリートスパイが解雇通知(=バーン・ノーティス)を受け取ると、銀行口座が凍結され、パスポートや身分証明書も取り上げられてしまう。マイアミに放り出されたまま、身動きができなくなってしまったマイケルは、CIAへの復帰を望むが、そのためには資金を貯めて、自分をクビに追い込んだ張本人を突き止めなくてはいけない。かくして実家や旧友たちを頼りに、探偵稼業を始めることになる。
クビになったとはいえマイケルは冷戦時代から活躍しているスパイだから、マイアミのごろつき退治などお手のものだ。なんの変哲もない日用品から盗聴器や爆弾を作り出してしまうところなどは、「冒険野郎マクガイバー」と似ている。常に数的不利に追い込まれるマイケルが、豊富な経験と機転を利かして悪者を成敗していくさまは痛快そのものだ。
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」の全米放映がスタートしたのは07年6月のこと。放送局のUSAネットワークは、FXやAMCと並びオリジナルドラマ製作で頭角を現しているベーシックケーブル局のひとつで、主要ネットワーク局のドラマがシーズンオフに入った時期に、「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」をぶつけてきた。いわば不意打ちを狙ったわけだが、それでも視聴者数が少ないサマーシーズンに話題を独占することができたのは、アクションからコメディ、ミステリーにいたるまで、異なるジャンルを織り交ぜた絶妙なバランス感覚にある。クリエイターは、手に汗握る緊張感を提供しながら、軽快なユーモアで視聴者を笑わせる、という離れ業をやってのけているのだ。
その秘密を解く鍵は、魅力的なキャラクター設定にありそうだ。たとえば主人公マイケルはクールなスパイだが案外情にもろく、無償で仕事を引き受けてしまう。元恋人のフィオナは射撃と爆破が趣味という峰不二子的キャラだが、マイケルに対しては一途な面を持つ。ブルース・キャンベル演じるサムにいたっては、酒を煽っては軽口を叩いてばかりの頼りない男だが、親友のためには命を投げ出すことも厭わない。こうした登場人物の二面性が、ポップで楽しいアクションコメディに、深みを与えているのだ。
舞台となるマイアミの存在も忘れてはいけない。日陰の存在であるスパイを陽気でカラフルなマイアミで描くことが、このドラマの最大の個性となっている。実際、アメリカでのキャッチコピーは、“Sun. Surf. Espionage.”(太陽とサーフィン、そして、スパイ活動)である。「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」は極上のカクテルを思い起こさせる。それも、ビーチサイドのバーで味わうミント入りのやつを。(小西未来)
■DVD情報
★セル
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」日本オリジナル・カット版〔初回生産限定〕
09年11月13日リリース 999円(税込)
第1&2話を約50分に編集したお試し版を収録。
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」DVDコレクターズボックス
2010年1月8日発売 10,290円(税込)
6枚組。全13話収録。
★レンタル
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」vol.1~3
09年12月2日レンタルスタート
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」vol.4~6
2010年1月8日レンタルスタート
「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」作品ページは
コチラから
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