「LOST」の大ヒット以来、アメリカでは類似品が次々と生まれたが、「ジェリコ」はそのなかで最も良質なドラマと言えよう。“ディザスター+群像劇+ミステリー”という「LOST」のヒット要因をきちんと継承しつつ、“古き良きアメリカの価値観”や“陰謀説”といった要素を盛り込むことで、独自色を出すことに成功している。
「ジェリコ」の舞台は、カンザス州にある架空の町ジェリコだ。町長の放蕩息子ジェイク(スキート・ウールリッチ)が久々に里帰りするところで、ドラマは幕を開ける。過去の放浪生活ついて口をつぐみ、遺産相続だけを要求するジェイクは、当然のことながら家族に冷たくあしらわれる。仕方なくジェリコを立ち去ったジェイクは、道中で核爆発を目撃する。隣州の大都市に巨大キノコ雲が立ち上り、放射能を含んだ雨雲がジェリコの方角に向かっていた。ジェイクは車を引き返し、ジェリコの人々に避難を呼びかける。「ジェリコ」は、核攻撃を受けたアメリカを舞台に繰り広げられるサバイバルドラマである。
核爆発はアメリカ全土でほぼ同時に起きたという設定だ。主要都市がすべて消え去ってしまったため、外国からの攻撃か、大型のテロなのか不明である。情報が錯綜し、ライフラインが断たれたなか、リーダーシップを発揮するのがジェイクだ。放浪生活時代になんらかの軍事活動に従事していたジェイクは、自ら武器を手に取り、次々と迫りくる危機からジェリコの人々を救っていく。そんなジェイクにとって心強いパートナーとなるのが、ジェリコに引っ越してきたばかりの黒人警官ロバート・ホーキンス(レニー・ジェームズ)だ。しかし、このホーキンスこそ、核攻撃の真相を知る人物だった……。
「バトルスター・ギャラクティカ」にも言えることだが、極限の緊張状態は、人間の最良の部分と最悪の部分を浮かび上がらせる。その結果、自ずと素晴らしいドラマが生まれる。また、「誰が核攻撃を仕掛けたのか?」という壮大なミステリーもいい。ヒントがつぎつぎ提示されるので、「LOST」のように焦らされることもない。
残念なのは、「ジェリコ」がシーズン2の途中で番組終了してしまった点だ。同ドラマは、熱狂的なファンを生み出しながらも番組を継続させるために必要な視聴率を稼ぐことができなかったのである。しかし、これはドラマ自体の問題というより、放送局との相性が悪かったせいだと思う。同番組を放送したCBSは、「CSI:科学捜査班」や「コールドケース」といった犯罪捜査ドラマを多く抱える“保守的”な局だ。1話完結型ではなく連続型のストーリー展開で、しかも、アメリカの権威との戦いを描くドラマが、勧善懲悪のドラマに慣れた視聴者に受け入れられるはずもない。ただし、製作総指揮でパイロット版の演出も手がけたジョン・タートルトーブ監督は、現在、映画版の製作を検討しているということなので、今後、TVドラマとは違った形でストーリーが継続される可能性はある。「LOST」のファンはもちろん、最近の「LOST」が複雑になりすぎてついていけなくなった人にもお勧めしたい。(文・小西未来)
「ジェリコ」作品ページはコチラから
© 2008 CBS Studios Inc. CBS and related marks are trademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.
TM, ® & © by Paramount Pictures. All Rights Reserved.