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カテゴリ:テレ中のつぶやき

第14回 実写版「Mr.インクレディブル」、あるいはファミリー版「HEROES」

第14回 実写版「Mr.インクレディブル」、あるいはファミリー版「HEROES」

 飛行機事故がきっかけで超能力を得た人々の物語と聞いて、「LOST」を思い浮かべる人も少なくないだろう。しかし、ABCの新ドラマ「No Ordinary Family」は、むしろピクサーのCGアニメ「Mr.インクレディブル」に近い。ある日、突然、超能力に目覚めてしまった一家が、これまでの日常と折り合いをつけながら、密かに活躍していくというスーパーヒーローものだからだ。

 主人公のジム・パウエル(マイケル・チクリス)は、警察署で容疑者の似顔絵を描く仕事をしている。絵描きとして大成できず、警察官として社会に貢献することもできない立場に苛立ちを覚えている。科学者の妻が多忙のため、家事を献身的にこなすジムだが、年頃の娘と息子は家をあけてばかり。ある日、家族の絆を取り戻すため、彼は家族を南米旅行へと連れ出す。しかし、チャーターした飛行機がアマゾン川に墜落するというトラブルに遭い、さんざんな結果に。旅行から戻ると家族はバラバラとなり、ジムは再び疎外感を味わうことになる。

 しかし、ジムは自らの体の変化に気づくことになる。そして、その変化は、妻や娘、息子にもそれぞれ違った形で起きていた。彼らはどうして超能力者になったのか? どうやってこれまでどおり日常生活を続けていけばいいのか、というのがこのドラマの基本設定だ。

 ファミリードラマにスーパーヒーローものをミックスさせるというアイデアは、「Mr.インクレディブル」そのままである。実写にしただけじゃないか、との批判が聞こえてきそうだが、「Mr.インクレディブル」をきちんと研究し、その成功レシピを忠実に再現しているから、ちゃんと面白い。Extraordinary(非凡)とmundane(平凡)のさじ加減が抜群で、ファンタスティックな活躍とありきたりの生活をバランスよく描いているのがいい。また、超能力に目覚めていくにしたがって、家族が絆を取り戻していくという展開もよく出来ていると思う。

 基本的には1話完結だが、闇の組織を巡るミステリーがあるので、その後の展開が気になる仕掛けになっている。実写版「Mr.インクレディブル」、あるいはファミリー版「HEROES/ヒーローズ」として応援していきたいと思う。

小西未来 ( こにし・みらい )
71年生まれ。LA在住のフィルムメーカー。 CUTにて「映画の『科学と学習』」「ハリウッド通信」連載中。公式サイトはこちら)。 写真:小西未来