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カテゴリ:テレ中のつぶやき

第11回 今夏の米TV界に異変!主要各局で新ドラマがスタート

第11回 今夏の米TV界に異変!主要各局で新ドラマがスタート

夏仕様の軽快な刑事ドラマ「The Good Guys」
夏仕様の軽快な刑事ドラマ「The Good Guys」
Photo:Everett Collection/アフロ

 アメリカのTVシーズンは、毎年9月に始まり翌年5月に終了する。学校が休みに入ると視聴率が落ちるので、夏休みのあいだ、主要ネットワーク局の放送枠は再放送や製作費の低いリアリティ番組ばかりとなる。言ってみれば、TV界は「夏眠」に入るのだ。

 しかし、今年の夏はいつもと様子が違う。バージニア・マドセン主演のコメディドラマ「Scoundrels」(ABC)や、「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家クリストファー・マッカリーが製作総指揮を務めるミステリードラマ「Persons Unknown」(NBC)、「バーン・ノーティス」のクリエイターによる刑事ドラマ「The Good Guys」(FOX)、など主要各局が新ドラマをぶつけてきたのである。

 今夏、主要ネットワークが突如活発になった原因は、ケーブル局の躍進にある。近年、ケーブル局は「マッドメン」(AMC)や「レスキュー・ミー」(FX)などの自信作を夏に放送している。なかでも、「バーン・ノーティス」(USA)の人気はすさまじく、その視聴者数はネットワーク局のドラマに匹敵するほどだ。ケーブル局がスマッシュヒットを連発するのを目の当たりにしたネットワークは、オフシーズンにも視聴者が存在することを悟ったのである。

 ただし、どんなドラマでも通用するわけではない。バケーションの季節にある程度の視聴率を獲得するためには、通常とは異なるプログラミングが要求される。夏のヒットドラマ開発にもっとも長けているのは、NBC Universal傘下のケーブル局USAネットワークだ。「バーン・ノーティス」に続けて、昨年スタートした医療ドラマ「Royal Pains」も大ヒットを記録。今年6月に放送された「バーン・ノーティス」(シーズン4)の初回は662万人、「Royal Pains」(シーズン2)の初回は584万人の視聴者を獲得している。

 「Royal Pains」は、大病院をクビになった天才医師(マーク・フォイアスタイン)が、高級リゾート地のハンプトンでプライベートドクターとして生計を立てる、という設定だ。浮世離れした生活をする人々の専属医師を務めながら、お金のない人には喜んで無償で治療を施すというお人好しで、個人邸で治療を行うため、「冒険野郎マクガイバー」のように、その場にあるもの利用してみせる。

 「Royal Pains」は、「バーン・ノーティス」の弟的な存在で、コンセプトが非常に似かよっている。「バーン・ノーティス」は探偵ドラマ、「Royal Pains」は医療ドラマと、典型的なジャンルでありながら、それぞれ「元スパイ」や「プライベート医師」というツイストを加えている。コメディとラブロマンスの塩梅もちょうどよく、舞台がマイアミやハンプトンということもあって、リゾート気分が満喫できる。このくらいの軽さが夏のドラマにはぴったりなのだ。

 ネットワーク局の夏ドラマで僕が注目しているのは、FOXの「The Good Guys」だ。ダメな中年刑事(ブラッドリー・ウィットフォード)と堅物の新人刑事(コリン・ハンクス)の相棒モノで、舞台はリゾート地ではないものの、「バーン・ノーティス」のマット・ニックスが製作総指揮を務めているだけあって軽いノリは健在。初回は、加湿器の盗難事件がマフィア間の抗争に展開するというナンセンスな展開で、まさに夏仕様のドラマといえよう。今後がとても楽しみだ。

小西未来 ( こにし・みらい )
71年生まれ。LA在住のフィルムメーカー。 CUTにて「映画の『科学と学習』」「ハリウッド通信」連載中。公式サイトはこちら)。 写真:小西未来